10分ヘアカットはコミュ障たる私の救世主となるか
髪が伸びている。
頭頂部から襟足に至るまで
伸び放題、荒れ放題。
風が吹くと波に揺られる海藻よろしくきもちわるいなびき方をする。
そういえば就職も決まった。
仕事が始まればおそらく髪を切る時間も作りづらいだろう。
そう考えると、行動が早いよ。私は。
いざ、かばんをひっさげ髪を切りに外に出る。
ただね、実は私、理容室とかって苦手で。
スタッフにもよるけどすごい話しかけてくる人が結構多いイメージで。
たまに手を止めて「お客さん、○○系のしごとなんすね!すごいっすね!」とかやる人いるけど
正直「手を動かして・・・!右側だけ某隣国の総書記みたいになってるから・・・!」とか叫びたくなる。ちょっとした辱めよね。
あとね、襟足とか触られると全身に鳥肌が立つ。
これは昔からそう。ぞわって。
そこで思い立ったのが10分ヘアカット的なお店。
10分ならコミュニケーションとかもあまりとらなそうだしね。
それにいざ話しかけられても、10分程度なら大丈夫。
伊達にハロワでコミュニケーションセミナー受けてないから。
襟足の鳥肌感はもうあきらめている。襟足触らない理容室ってないし。
ということで10分ヘアカットのお店に行ってきた。
日曜日だけど回転率はやいからあまり待たなくてよさそうだし。
店に入ると運のいいことに、たまたま誰もいない時間帯。
店員に促されるまま椅子に座る。
素敵な雰囲気の女性スタッフだ。ちょっと緊張。
スタッフ「今日どういう感じに?」
私「ツーブロックの6mmくらいで」
スタッフ「あ、前もツーブロックだったんですね」
私「あ、はい。」
スタッフ「あれ、顔のところ・・・怪我したんですか?ちょっと腫れが・・・」
私「あ、はい。」
スタッフ「ちょっと最近マスクとかつけなきゃいけないから表情とかよみづらいですよねぇ。」
私「あ、はい。」
スタッフ「じゃあカットしていきますね。何かあったら声かけてください。」
私「あ、はい。」
チョキチョキ・・・
スタッフ「今日ちょっと暑くなりましたね!」
すごい話しかけてくるやん。
10分あますことなくしゃべりかけられたよ。
全部「あ、はい。」しか言えなかったよ。
コミュニケーションセミナーのすべてを覆された気分だよ。
おのれ、手練れめ。
ということで一応すっきり切ってもらって。
しっかり「あ、はい。」だけで会話もして。
襟足カットするときぞわっともして。
10分ヘアカットのこれでもかというほどのサービス精神に感服している。
ありがとう、ヘアカット。ありがとう、スタッフさん。
コロナ禍の中、無駄がそぎ落とされて、本質が、速度が、生き残る時代。
コミュニケーションの難しさから理容室を敬遠する私のようなコミュ障。
このふたつは混沌の中混ざり合うだろうか。
10分ヘアカットはコミュ障たる私の救世主となるか。
愛憎あふれる世界のチョコに祝福あれ
私、今になって思い出したの。
今日バレンタインじゃないかって。
もう今になって思い出すあたり、私とバレンタインがどれほど縁遠いものかお判りいただけるんじゃないかと思った次第。
まあ、そこまでしてほしいわけでもない気がしないでもないことは否定しかねるようなしないような感じなのでいいんだけど。
でもそれとなく学生時代はやっぱり多少なり意識はしたよね。
わざと女子の前をうろつくようなことはしなかったけど・・・多分、いや・・・おそらく・・・そういうことも・・・無きにしも非ず・・・
でもくれるなら欲しかったっていうのは本音のところ。
まあでもさ
甘いの苦手なんだ。
これすごい致命的。
今は甘いのもすごい食べるけど、学生時代は特にひどくてクッキーはアウト、チョコも甘すぎるのはアウトみたいな感じだった。和菓子とかは平気だったけど。
おかげで調理実習でお菓子を作ることになった時は倒れたし
「卒業の思い出にみんなでケーキとか作りたい」ってはしゃいでた女子に「ごめん、甘いの苦手なんだ」の一言で中止にさせ落胆の渦に叩き込んだし。
おかげでバレンタインも一人だけおかきもらっていたよ。
ジジイかよ。
でもみんなの優しさが心にしみたよ。この時期になると思いだすよ。
ということで、せっかくバレンタインだし、今日は意中の異性に ありったけの愛憎込めて煮つめた茶色い物体を送り付ける日だしってことで、小咄を書いてみた。
というか私タダでもらえて、且つおいしいものはなんでもうれしいので、義理の義理の義理の義理の、何だったらギリギリチョコ的な奴でもいいのでなんか余っていたらください。
↑こういう言動が私からバレンタインを遠ざける一因になっているのに早く気付くべきだと思いはする。
あ、あと私この時期のチョコレート売り場、色々かわいい商品が並んでいるから超大好き。
チョコを選ぶ女性たちに紛れて、目を輝かせながらチョコを見つめるおっさんがいたら十中八九私だと思っていいかもしれない。
そしてこのブログを書いている間にめでたく今年のバレンタインは終わりを告げた。
振り絞った勇気の行く末は
現在、絶賛就職活動中。
今とある企業に応募を考えていて
そこは履歴書をデータで提出しなければならないようで
慌てて履歴書フォームに文字を叩きこんでいる。
他でやっているダイエットブログなんて毎日2千字くらい打ち込んでいるもんで
無駄に早くなった入力技術がここで役に立っている。
まあそのおかげで就職活動やっているふりとして書き上げた履歴書10枚が☆MUDA☆になったわけだけど
それでも私の目的はあくまで就職であって履歴書を書き上げることではないのでよしとする。使うかもしれないし。使わなくなるのであればそれが一番だけど。
さて、話が良くずれるのは私の悪い癖だよね。ネクタイもよくずれているらしいし。また話ずれたし。
閑話休題して戻ってくることにする。
それで当然、データで提出ってことは写真もデータにしないといけない。
こればかりは慌てた。めんどくさいことこの上ない。
でも急がなきゃこの就職難のご時世、めんどくさがって後回しにしてチャンスを棒に振るなんてもったいなさ過ぎるもの。
決めたらやる男だよ私は。
今日さっそく写真を撮ることにした。
行ったのは某カメラ店。
いつもスピード写真とかだけど、データの受け渡しとなるとね。
それができるスピード写真もあるらしいけどそんなのいちいち探すのも時間かかるし。
さっそく店員さんに相談。
コミュ障だけど頑張って相談。
若干声も指も震えていたけど頑張って相談。
下はジーンズ、上は背広にシャツ、髪はぼさぼさ・・・というどう見ても変質者だけど気にせず相談。
「承知しました。ではこちらへどうぞ。」と密室へいざなわれ
5分ほどで撮影。
思いのほか早く終わってくれたので一安心。
さっそく店員さんと二人で写真を選ぶことにする。
店員さん「こちらの写真はきりっとしてまじめな感じでいいと思います。」
私「ほんとだ。危ない人みたい。」
店員さん「こちらですと笑顔がありますので明るい印象を与えると思います。」
私「ほんとだ。気色わるーい。」
なんてやりとりをしてなかなか決まらず。
主体性のない人間は決めることすら困難なもので。
でもいつまでも店員さんと気持ち悪い自分の顔写真見ながら、きゃっきゃうふふしているわけにもいかない。
店員さんが決めることはできない。私が決めなければならない時は必ず来る。
勇気を振り絞るしかない。
決めたらやる男だよ私は。
意を決して声を出す。
でもどんな事象にせよ一番よくないのはあいまいな返事、わかりづらい言葉で相手に伝えることだ。
もじもじしながらネタをやる漫才師は見ていて楽しいだろうか?
否。
この1か月、何のために月8回のセミナーに通ったというのだ。
ここで学んだコミュニケーションスキルのすべてを使わずしていつ使うというのだ。
そうだ。かましてやれ。
店員さんを笑いの渦に巻き込んでやれ。
頑張れ私。一皮むけるのはここしかない。
限界なんてメーター振り切って飛んでやれ。
私「すみません、この写真の僕がいつにも増してイケメン過ぎるのでこちらにしてください。」
言ってやったぞ。
言ってやったぞ私。
さあ、笑え店員さん。
私の一世一代の渾身のナルシスギャグを!!
店員さん「承知しました。ではこちらの写真をデータにしてお渡ししますね。10分ほど店内でお待ちください。」
誰か・・・ちょっとぺこぱ呼んできて・・・
だって紛らわしかったのだもの。
腹痛を覚えた。
朝、外出先でのことだった。
額にはじんわりと汗がにじみ出る。
おなかはゴロゴロ。
上は雨、下は雷。ダムは決壊寸前。
幸いにも近くにトイレがある。
混んでいる様子もない。
トイレに入るが早いか、ズボンを脱ぐが早いか。
いや、ズボンを脱ぐのが早いと社会人として完全にアウトだ。
トイレの個室に入った後、ズボンを脱いだ。
うやうやしく便座に座る。
ダムは決壊せずに済んだ。
雨はやんでいる。
雷はそのなりをひそめたようだ。
安堵。
何とか間に合った。
ことを済ませ、清拭し、パンツをはき、ズボンをはく。
水を流そうとしたところで、目に入ったのは張り紙。
「感染拡大のため便座は閉めて流してください」
コロナ禍の今、普段気にしなかった些細なことにも気を遣うようになった。
次の人、見ず知らずの人のことを考え、行動する。
・・・かと思えば、コロナにかかった人、やむを得ず外出しなければならない人を徹底的にたたく。
どちらも人間の人間らしい姿なのかもしれない。
私はどんなに追い詰められても、人のことを考えて行動できるのだろうか。
誰かを攻撃してしまわないだろうか。
その状況になってみないと答えは出ないのだろう。
願わくばそんな状況にならないことが一番いい。
だから手洗いももちろん。アルコール消毒もしっかりしていきたいと思う。
そう思って、壁に掛けてあったアルコール消毒をそっと手に吹きかける。
自分と、大好きな人たちと、知らない人の健康を祈りながら・・・。
アルコールと思って手にかけた液が便座クリーナーだったんだけど、人体に害はないよね?
あなた、ちょっと失礼な人ね。
最近、散歩をしている。
太りに太ったこの体。
蓄えたる脂肪。いや、ラード。
仕事をしていない今こそ、時間と体力の限りこそぎ落とさんと意気込んでいる。
そんな中。
とぼとぼと散歩をたしなんでいた。
散歩しながら宇宙の起源なんてのんきに考えていたんだけど
突如大きなクラクション。
大きな音に弱い私。驚いた顔で音のするほうを向く。
そこには一台の車が止まっていて、中からはすてきな笑顔のお兄さん。
誰・・・?
人見知りな私。極力知らない人とはかかわりたくない。
それだというのに、その笑顔の素敵なお兄さんは手招きをしている。
怪しい
とは思いつつも、むげに無視して目でもつけられたら厄介だ。
適度な距離を取りつつ、恐る恐る近づいていく。
これぞ牛歩戦術。
丑年たる今年にふさわしい堂々たる戦術。
近づくにつれはっきりしてくるお兄さんの顔。
中々近づかない私にしびれを切らしたのかお兄さんが窓から顔を出しにこやかに声をかける。
「おう!久しぶり!何やってんだ!」
久しぶり・・・?
もしかして会ったことあるのか?
いつ?どこで?久しぶり?ということは1年とかそんな前か?
人の顔など覚えるのも苦手というに、そんな前の話をされても困る。
いや、そもそもその言葉かけじたいが高価なツボをかわせる常套手段なのではないか?
だが
それを相手に言ってしまったら逆上もあり得る。
もし本当に会っていたら?
もしその時は仲良くしていた人だとしたら?
もしかしたら親戚?学生時代の友人?
だれなのか思い出せていない焦りと色々な考えが錯綜しながら
冷静かつ動じていないふりをしつつ
こちらもあたかも知り合いのように会話を続けてみる
「ぉ・・・おぉ~。お、おぉ~。今ぁ・・・ささ・・・散歩中だよぉ~・・・」
いかん。動揺した。
「ぶふっ!散歩中って!お前ぇ~久しぶりだなぁ!声聞きづれぇからもっと寄れよ~!」
もしかして拉致が目的か?この男。
全力で逃げたほうが良いのか?
否、こうなったら拉致を敢行しようとした場合、力の限り暴れるしかない。
88㎏近い体重を陸に挙げた獲れたての魚のごとく暴れまわるのみぞ。
意を決して車に近づく。
呼吸は荒くなってくるが、それを悟られないよう平静を装う。
体はすでに温まっている。いつでも暴れられる。
一歩、一歩近づく。
あと一歩で私、そして男の間合いの中に入る手前、衝撃の言葉が男から飛び出した。
「ん?お前・・・誰だ・・・?」
いや、お前が誰だよ。
「あぁ~わりぃ!知り合いと思った!すまんすまん!遠目から似てると思ったんだけどさ!ん?なんか丸い感じがしていたから変だな~とは思ったんだよな!ごめんな!」
なんと、ただの人違いだったのだ。
安心した。
知り合いじゃないというのも安心したし、何かしらの行動を起こすやべー奴でもないのがすごく安心した。
人違いなら仕方がない。うん。
「あぁ~わりぃな!邪魔して!ごめん!!頑張ってな!」
にこやかな笑顔を向けるお兄さん。
まだ警戒を解くわけにはいかないが、すくなくとも悪い人ではなさそうだ。
「いやいや、私も一瞬、知り合いかな~と思っていたので(笑)」
そう言葉を交わして、「じゃあ」とお互い軽い会釈をする。
そうしてお兄さんはさっそうと車を発進させて街の中へと溶けていった。
こういうこともあるもんだね。
とりあえず悪い人でなくて本当に良かった。うん。
そんな面白出来事。お兄さんの朗らかな笑顔と明朗快活をおもわせる元気な声を思い出す。
ちょっとまて。あいつさっき私のことを「丸い感じ」って言わなかったか?
どうしてもカフェラテが飲みたい
時間は23:00を過ぎたところだ。
真夜中。
今日やることなんてもうほとんどない。
後は寝る支度をして、就活用のワークをちょっとやって、iPadに入れるアプリの選別をして、ちょっと本を読んで眠るくらいだ。
なのに今、ものすごくカフェラテが飲みたい。砂糖入りのやつではない。無糖のカフェラテが飲みたくてたまらないのである。
基本、そこまでカフェインに影響されるような体質ではないので、多分飲んでも睡眠に影響はないと思う。
「飲みたいなら飲めばよいだろう。なにをそんな逡巡することがあるのか。」と思われる方もいるかと思う。
そんな方たちのためにもこれだけは言わせてほしい。
カフェラテを買いに行くのがめんどくさいのである。
人が堕落するのにこれほどの理由はあろうか。
カフェラテは飲みたい。でも買いに行くのはめんどくさい。
極論、だれか都合よくコンビニで買ってきてくれるか、デロンギとかのエスプレッソマシンと深煎りにしたブラジル産のコーヒー豆を使ってその場で淹れてほしい。
その上ラテアートでハートなんて書かれたらもう私、嬉しさのあまり嘔吐するかもしれない。
ここで判断を遅らせれば遅らせると、のちの作業も影響が出る。
ぶっちゃけ「カフェラテ飲みた~い」なんてブログに書いている場合ではないと思う。
そろそろ覚悟を決めなければいけない時間だ。
我を通すならそれ相応の行動は必要だ。
ただもうしばらく迷っている状態を堪能してしまってもいいのではないかと思い始めている。
欲望に忠実な人間。
自堕落な性格が腹周りのぜい肉と無駄なシンキングタイムを生み出してしまった。
ここまで書いていくうちに、気持ちの整理はついた。
このブログを更新して5分もしないうちに私は夜な夜なコンビニへと体を走らせるだろう。
もう腹は決まったんだ。
自身にあるめんどくさがりな思考をひっそりと殺し
あらゆる万難を排して
どうしてもカフェラテが飲みたい。
この体がもうひとつあればコーヒーをたくさん飲めるのに
コーヒーが好きだ。
1日に飲む水の量よりコーヒーのほうが多いくらいコーヒーが好き。
多分私の体内の水分は80%がコーヒーだと思う。
そんなコーヒー好きな私。
多い時は1.5ℓくらいコーヒーを飲んでいる。
エチオピア、コロンビア、インドネシア・・・海外に行ったことはないけど、コーヒーは私を世界のあちこちに連れていってくれる(熱帯地区限定)
その瞬間がたまらなく愛おしい。
昔の人はこれを恋と名付けたのだろう。
事実、私はコーヒーのせいで恋と同じ状況に陥っている。
夜眠れない(カフェイン作用半端ない)
いつもコーヒーのことを考えている(どハマりするとそればかり)
コーヒーを飲むとドキドキする(カフェインによる動悸)
何日も会えないとつらくてしかたない(中毒)
分かるはずないのにコーヒーのことを何度も調べる(まだ知らないおいしいカフェがどこかにあるはず)
そんな恋する私の素敵な1日を紹介してみたいと思う。
ただの惚気になってしまうかもしれない。
まずは今日早起きした自分。気付けに缶コーヒーのブラックを1杯。
ブレンドだと思うので、ブラジルとかグアテマラとか一気に飛んで行った感じ。
うん。缶コーヒーってあんまり飲まないけどたまにはいい。
ただ、アイスは失敗だったと言わざるを得ない。手が軽く震えていた。
用事のため外出。
その後用事を済ませて帰る前にコーヒー屋でエチオピアを一杯。
瞼を閉じれば、熱帯の山岳地帯でコーヒー豆を積む感じのいいお兄さんの顔が浮かぶようだ。
これも甘みがして素敵なコーヒーだ。
自宅で昼食をとり自分で淹れたマンデリンを300mlほど飲む。
インドネシアでコーヒーを収穫するこれまた笑顔のさわやかなお兄さん、そのお兄さんと半年後に結婚する幼馴染の娘が笑いながら空を見上げている・・・
たった一口飲んで、そこまではひとまず妄想した。
あっさり目に淹れたコーヒー。この甘酸っぱいテイストを存分に味わい青春の何たるかを知る。
それは雄弁に。まるで絹のように横たわる文字をきれいに並べていくように・・・。
甘酸っぱい青春など1mmも経験していないけどね
その後は散歩に出かけた。
冬空の下、寒さに弱いくせに風を感じたくなったのだ。
外に出たとたん、いきなり外出を後悔したくなる強風にあおられたけどここまで来たらもう後には引けない。
久しぶりに市場内にあるコーヒー屋へと歩を進める。
5年以上行っていないかもしれない。
並べられているコーヒー豆を見る。
中南米、ブレンド・・・。ここのコーヒー屋もなかなかのラインナップだ。
ぎゅうぎゅうに詰められたコスタリカのコーヒー豆と目があった気がする。
コーヒー豆が私に話しかける。
あなたの一声で、窮屈な瓶から私をそっと連れ出してほしいと。
そうすればあなたの口にそっと触れ、コスタリカの空に連れていく・・・と。
私は意を決して、店員に「コーヒーを1杯ください」と言った。
残念なことに瓶に入っていたコーヒー豆は使われなかった。
おそらくブラジルだろう。
国としては近いが残念な結果となった。
でもこれはこれでいい。最近はアフリカコーヒーばかりだったから久しぶりに中南米のコーヒーを飲んだ気がする。
手に握るカップから温かさが伝わる。冬の街。
何度もコーヒーを口に運ぶうちに私の体内にある異変が生まれる。
「コーヒー飲み過ぎてめっちゃ気分悪い。」
おそらくこの時点でだいぶ飲んでいると思う。
しかも今日は割と続けざまに飲んでいるのでそれもあると思う。
吐気、動悸、脱力感。
この世の悲しみをすべて背負ったかのように私の表情はみるみる険しくなっていく。
ちなみにコーヒーミルはボンマックを使用している。買ってよかった。
なんとか倒れる前に家に帰ることができた。
吐気も動悸も脱力感ももうない。
ただ少しだけ胸がむかむかする。胸やけだろう。
激しく後悔した私は、何度も水をのみ体を休めた。
おかげで今は何ともない。
どうやら峠は去ったようだ。
安心してマンデリンを再度淹れて本日最後のコーヒーを楽しんでいる。
おばんどす、インドネシアの素敵な青年とその婚約者。
そちらは今昼だろうか(時差は多分2時間くらいしか変わらない)
やっぱり冬は寒いのだろうか。
「あなたの仕事は国境を越えてひとりの人間を確実に幸せにしている」と伝えてあげたい。
あなただけじゃない。今この時もコーヒーの収穫、販売、輸送、焙煎、抽出に携わるすべての人に私は伝えたいと思っている。
でもあまりに数が多すぎる。
ああ、体が足りない。
なんでひとつしかないのだろう。
この体がもうひとつあればコーヒーをたくさん飲めるのに
もっと「ありがとう」を感じられるというのに。